コラム 江戸版・長者への道

 井原西鶴(いはらさいかく)の『日本永代蔵』(にっぽんえいたいぐら)は、金持ちになりたい町人たちの、さまざまな栄枯盛衰(えいこせいすい)をえがいた物語じゃが、教訓的な意味合いの強い実用書でもあったそうな。

 その中に、長者丸(ちょうじゃがん)という金持ちになる妙薬の処方として、

『早起き5両、家業20両、夜業8両、倹約10両、達者7両、この50両を粉にして、調合に念を入れ朝晩飲めば、長者になることは間違いない』

 と書いてある。
 しかし、それより大事なのは、毒絶(どくたち)をすることだそうな。
 その毒というのが・・、

・美食と好色と絹物の不断着(普段着)
・女房を乗り物にのせ、年頃の娘に琴・歌がるた
・息子に種々の打囃(うちはやし)を習わせること
・花見、舟遊び、昼風呂入り
・夜歩き、博奕(ばくち)、碁、双六(すごろく)
・寺社参詣(さんけい)、来世の成仏(じょうぶつ)を願う心
・諸事の仲裁(ちゅうさい)と保証人
・食事ごとの飲酒、煙草好き、目的のない京のぼり
・月息八厘(りん)より高い借金

 など、ほかにもいくつか毒はあるそうな。
 これらは猛毒の虫や、ヒ素を含んだ鉱物よりも恐ろしい毒薬で、きっぱりと絶つことが必要なんだとさ。
 金持ちへの道は、時代を超えて不変じゃな。
長者丸


日本永代蔵新版 現代語訳付き (角川文庫 角川ソフィア文庫) [ 井原西鶴 ]

価格:1,339円
(2017/8/31 23:22時点)



コメント

非公開コメント